3D地形を読み込んでいます
地理院タイル(標高タイル(5mメッシュ・10mメッシュ)、シームレス空中写真、空中写真1974〜78年)を加工して作成。高さは1.5倍に強調
地形でわかる北海道
オンネトーはなぜ色が変わる?
阿寒摩周国立公園のいちばん西、雌阿寒岳と阿寒富士の西のふもとにある湖、オンネトー。天気や見る場所、時間によって、コバルトブルーやエメラルドグリーンに色を変えて見えることから、五色沼とも呼ばれます。
湖の色はなぜ変わるのか。湖と、湖を生んだ火山をたどっていきます。
スクロールすると、湖を生んだ雌阿寒岳の火山群から、湖の色のしくみ、酸性から中性へ変わった水、湯の滝へとたどります
現在
阿寒カルデラの縁の火山群
雌阿寒岳は、長さ24kmほどの阿寒カルデラの南西の壁の上にできた火山です。ひとつの山ではなく、ポンマチネシリや阿寒富士など、8つの小さな火山の集まりです。
玄武岩から安山岩、デイサイトまで、性質の違うさまざまなマグマを噴き出してきました。
約1万3000年前〜
火砕流と、重なっていく山
約1万3000年前、火山群の中央にある中マチネシリ火口(直径1.1km)から火砕流が四方に流れ出しました。過去1万年あまりで最も大きな噴火です。その後も約9000年前、5000〜6000年前と、時期を空けて火砕流が流れ下っています。
約3000〜7000年前には、溶岩を主とするポンマチネシリ(今の山頂、1,499m)などの山ができました。
約2500〜1000年前
円錐形の阿寒富士
雌阿寒岳の南にそびえる、きれいな円錐形の山が阿寒富士です。約2500〜1000年前に、玄武岩の溶岩と、降り積もった火山の噴出物で形づくられました。
湯の滝のあたりでは、ポンマチネシリの噴火で流れ出した古い溶岩が、阿寒富士の溶岩に埋もれずに残っています。
雌阿寒岳の噴火
噴火でせき止められた湖
オンネトーは、雌阿寒岳の噴火による噴出物で、螺湾(らわん)川の上流がせき止められてできたと考えられています。
面積0.23km²、最大水深9.8mの小さく浅い湖で、湖面の標高は国土地理院の標高データで639mあります。湖の水は、螺湾川へ流れ出しています。
現在
青い水と、黄色い泥
湖の色は、湖の水そのものが散らす青い光と、湖底にたまった黄色い泥が返す光が混ざってできています。
その混ざり方が、水深や日の光の強さで変わるため、場所や時間によって色が違って見えます。澄んだ水と黄色い泥の両方がそろって、オンネトーの色が生まれています。
現在
泥のもとは、北の錦沼
湖の北にある小さな沼、錦沼。まわりと底を赤褐色の鉱物(褐鉄鉱)がおおっていることから、その名が付きました。
錦沼から流れ出す川は、pH4ほどの酸性で、鉄やアルミニウムを多く含んでいます。この水がオンネトーに流れ込み、鉄やアルミニウムが沈んだものが、湖底の黄色い泥だと言われています。
1974〜78年
酸性だった湖
1974〜78年の空中写真に切り替えました。湖が明るい青に写っています。
オンネトーは、1985年の調査でpH約5.5の酸性の湖とされ、2008年まで弱酸性が続いていました。湖に流れ込む川は2本あり、錦沼からの酸性の川と、pH8ほどの弱アルカリ性の川です。湖の性質は、この2本の水のつり合いで決まっています。
2008〜2012年
人の手なしに、中性になった湖
今の写真に戻しました。2008年にpH6.0だった湖は、2012年にpH8.2まで急に上がり、2013年にはpH7.0前後の中性になっていました。酸性の川の水が減ったか、アルカリ性の川の水が増えたか、その両方と考えられています。
自然の酸性の湖が人の手を加えずに中性になった例は、国内では屈斜路湖と猪苗代湖が知られていたくらいで、とても珍しいものです。2023年の調査ではpH6.9で、藻が増え、透明度は以前より下がっていました。写真の色の違いには、撮影の時期や条件の違いも含まれています。
現在
今もマンガン鉱物ができる滝
湖から1.5kmほどの所にある、オンネトー湯の滝。雌阿寒岳や阿寒富士に降った雨が地下にしみ込み、十数年かけて溶岩の端から温泉となって湧き出しています。
滝の斜面では、光合成で酸素を出すシアノバクテリアと、その酸素を温泉水のマンガンと結びつけるマンガン酸化細菌の働きで、年に1トン以上の二酸化マンガンが沈んでいます。陸上で見られる最大のマンガン鉱物の生成場所で、2000年に国の天然記念物に指定されました。
約1000年前〜現在
噴煙を上げ続ける雌阿寒岳
最近1000年の噴火は、初めのころを除いて、ほとんどが水蒸気噴火です。約400年前にはポンマチネシリに赤沼火口が開き、1955年以降は、ポンマチネシリの山頂の火口で小さな噴火がたびたび起きています。
2025年9月15日に噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられ、2025年10月と2026年3月にも、ごく小規模な噴火が起きました。
現在
火山と水がつくる湖の色
噴火でせき止められた谷に水がたまり、錦沼から運ばれた泥が湖底を黄色く染め、澄んだ水の青と混ざってオンネトーの色ができています。
その水の性質も、流れ込む川のつり合いしだいで、数年のうちに変わってきました。火山のふもとの湖は、今も少しずつ姿を変えています。

