3D地形を読み込んでいます
地理院タイル(標高タイル(5mメッシュ・10mメッシュ)、シームレス空中写真、空中写真1961〜69年、空中写真1974〜78年)を加工して作成。高さは1.5倍に強調
地形でわかる北海道
青い池はなぜ青い?
十勝岳の北西のふもと、白金温泉から美瑛川を約3km下ったところに、青い池があります。北海道開発局の資料では、訪れる人は推計で年間35万人にのぼります。
なぜ、ここに池があるのか。なぜ、青いのか。答えは、どちらも十勝岳にあります。
スクロールすると、十勝岳の噴火と砂防の堰堤から、火山の川が混ざってできる青い粒、2026年の十勝岳までたどります
1926年
火山泥流の記憶
十勝岳は、30〜40数年の周期で噴火を繰り返してきた活火山です。
1926年(大正15年)の噴火では、熱い岩なだれが山の雪をとかして火山泥流が起き、死者・行方不明者144名の大災害になりました(大正泥流)。
1961〜69年
池は、まだない
1961〜69年の空中写真に切り替えました。今の青い池のあたりです。
美瑛川は、森の中を網の目のように分かれて流れ、川原が広がっています。池は見当たりません。
1974〜78年
川原と森のまま
1974〜78年の空中写真です。
このころも、池のあたりは森と美瑛川の川原です。
1988〜89年
ふたたび噴火する十勝岳
1988年12月10日から1989年3月5日にかけて、十勝岳の62-2火口で、水蒸気噴火とマグマ水蒸気噴火が計28回起き、小規模な火砕流や泥流も発生しました(気象庁)。
ふもとの白金地区には避難命令が出され、住民の避難生活は127日間に及びました。
1989年
約6か月で造った堰堤
この噴火をきっかけに「火山泥流対策基本計画」が作られ、1989年から国の直轄の火山砂防事業が始まりました。
最初に取り組んだのが、美瑛川のブロック堰堤です。急ぐ必要があったため、1989年に着手し、約6か月で完成しました。火山泥流をため込むための堰堤に美瑛川の水がたまって、今の池ができました。
現在
泥流をせき止める川
美瑛川には、このほかにも、火山泥流をせき止める砂防堰堤、川底が削られるのを防ぐ床固工、泥流を安全に流す流路工などが、白金温泉から下流へ並んでいます。
青い池は、その砂防施設のひとつです。正式な名前は「美瑛川ブロック堰堤」です。
現在
火山から流れる、酸性の川
では、なぜ青いのか。福島大学の高貝・阿部は、2013年に青い池と上流の川の水を採って調べました。
十勝岳の方から流れてくる硫黄沢川と尻無沢川は、火山の影響でpH4〜5の酸性の水です。この水には、火山灰から溶け出したアルミニウムとケイ素が多く含まれています。
現在
混ざると、粒ができる
2本の酸性の川は、白金温泉のあたりで、水量の多い美瑛川(pH5.7〜6.8)に合流します。混ざると急に中和され、ケイ酸アルミニウムのとても細かい粒ができます。
合流したところから先は、川の色が乳白色をふくむ青に変わります。粒の大きさは10〜800nm(1nmは100万分の1mm)で、多いのは長さ500〜600nm、幅10〜50nmの矢じりのような形の粒でした。
現在
光を散らして、青く見える
水の中の細かい粒に日の光が当たると、光はいろいろな方向に散らされます。波長の短い青い光ほど散らされやすいため、水が青く見えます。
論文は、この粒が水酸化アルミニウムではなく、ケイ酸アルミニウムである可能性が高いとしています。福島県の裏磐梯の五色沼の青い沼とも、粒の大きさの分布がよく似ていました。
現在
流れのゆるい池だけが、特に青い
粒をふくんだ美瑛川の水は、流れのゆるい池に入ると、粒がそこにとどまります。そのため、池の部分だけが特に青く見えると、論文は推察しています。
北海道開発局の資料は、上流の白金温泉地区で湧き出すアルミニウムを含む水が美瑛川と混ざってコロイド(細かい粒)ができ、青い光が散らされるため、と説明しています。
2026年
ふたたび高まる十勝岳
十勝岳は2026年、火山活動が高まっています。7月と8月に62-2火口付近でごく小規模な噴火があり、9月12日に噴火警戒レベルが3(入山規制)に上がりました。10月16日に2(火口周辺規制)に下がりましたが、熱活動の高まりや、山の下のやや深い所のふくらみを示す地殻変動は続いています。10月30日の気象庁の解説情報でも、レベル2が続いています。
北海道開発局は9月14日に「十勝岳事前防災対策」に着手し、白金温泉地区で、火山泥流の広がりを防ぐ導流堤のためのコンクリートブロックを置いています。
現在
火山がつくった、青い池
青い池は、十勝岳の噴火にそなえて急いで造った堰堤に、美瑛川の水がたまってできました。
その水が青いのは、火山から流れる酸性の川が美瑛川と混ざってできる細かい粒が、光を散らすからです。池の場所も、池の色も、十勝岳がもたらしたものです。

