北海道暮らしの読みもの

3D地形を読み込んでいます

地理院タイル(標高タイル、シームレス空中写真、空中写真1974〜78年)を加工して作成。高さは1.5倍に強調

地形でわかる北海道

然別湖はどうやってできた?

大雪山国立公園の南の端、鹿追町と上士幌町にまたがる然別湖。まわりを標高1,000〜1,400mの山に囲まれています。

まわりの山は、ほとんどが火山です。この湖と山がどうやってできたのかを、たどっていきます。

スクロールすると、古い火山と新しい溶岩ドームから、湖のでき方、永久凍土、湖に閉じ込められた魚、今もできつつある三角州へとたどります

現在

北海道でいちばん高い所にある湖

湖面の標高は805mで、面積1km²以上の北海道の自然の湖の中で、最も高い所にあります。面積は3.59km²、最大深度は98.5mです。

水はとても澄んでいて、1985年8月には透明度19.5mを記録しています。

約30万年前〜

古い火山、ペトウトル山

湖の北と西にそびえる北ペトウトル山と南ペトウトル山は、まわりの火山の中で最も古いものです。

約30万年前から、20万年以上かけてできました。溶岩や火山灰が何層にも積み重なった、成層火山です。

数万年前〜約1万年前

湖の南に並ぶ、溶岩ドーム

湖の南には、西ヌプカウシヌプリ、東ヌプカウシヌプリ、白雲山、天望山の4つの溶岩ドームが並んでいます。粘り気の強い溶岩が遠くまで流れずに、火口のまわりに盛り上がってできた山です。

ペトウトル山よりずっと新しく、数万年前から約1万年前ごろにできました。くわしい年代は、まだはっきりしていません。

現在

湖はどうやってできた?

然別湖のでき方には、2つの考えがあります。溶岩ドームが盛り上がって谷をせき止め、湖ができたという考えと、先に地面が陥没してくぼ地(カルデラ)ができ、その縁に沿って溶岩ドームが噴き出して、今の入り組んだ形になったという考えです。

とかち鹿追ジオパークの解説では、溶岩ドームが川をせき止めて湖ができ、最初の湖は今より北と西に広がっていたとしています。今、湖の水は南から然別川へ流れ出しています。

現在

岸からすぐ深くなる湖

国土地理院の湖沼調査によると、川が流れ込む北側を除いて、湖は岸からすぐ深くなります。湖面の大部分は水深50m以上で、水深90mより深い湖底はおおむね平らです。最も深い所は南側にあります。

湖の底の近くでは水の成分が急に濃くなっていて、湖底から温泉の成分が湧き出している可能性も指摘されています。3Dの湖底の形はイメージです。

最終氷期〜

ゴツゴツした岩の斜面と風穴

溶岩ドームの斜面の多くは、大きさのそろった、ゴツゴツした岩に覆われています。冷えた溶岩が、寒い時代に凍ったりとけたりをくり返して砕けたものです。

この岩の斜面には、夏でも冷たい風を吹き出す「風穴(ふうけつ)」があちこちにあります。

現在

気温0℃を超える場所の永久凍土

西ヌプカウシヌプリの岩の斜面では、年平均気温が1.3〜1.7℃と0℃を上回っているのに、地下に一年中凍ったままの土(永久凍土)が見つかっています。大雪山で永久凍土が広く続くのは標高約1,650mより上なので、それよりずっと低い場所です。

冬は岩のすき間を空気がめぐって地面を冷やし、春には雪どけ水が岩のすき間で凍って、氷が増えていきます。永久凍土は岩の斜面のすそや谷底にあり、ミズゴケの群落とほぼ重なっています。氷の中の有機物を約3,700年前とする報告もあります。

湖ができてから

湖に閉じ込められた魚

然別湖にしかいない魚、ミヤベイワナです。火山の活動で湖ができたとき、川にいたオショロコマが湖に閉じ込められ、独自に進化したと考えられています。

湖のプランクトンを効率よく食べられるよう、えらの突起(鰓耙)が増えました。生息地は、北海道の天然記念物に指定されています。

1974〜78年

湖に注ぐヤンベツ川

1974〜78年の空中写真に切り替えました。湖の北の端です。

北から流れ込むヤンベツ川は、然別湖に注ぐ川の中で最も大きな集水域を持っています。川が運んだ砂が、河口にたまっています。

2017年

今もできつつある三角州

2017年の空中写真に戻しました。林野庁は、ヤンベツ川の河口に「今まさに形成されつつある三角州」があると紹介しています。

2枚の写真を比べると、河口の砂地が湖の中へ広がって見えます。ただし、撮影した時期の湖の水位の違いも、見え方に影響している可能性があります。

現在

火山と寒さがつくった湖

古い火山と新しい溶岩ドームに囲まれた谷に、北海道でいちばん高い湖ができました。

寒い時代に砕けた岩の斜面には今も永久凍土が残り、湖には閉じ込められた魚が暮らしています。湖の北では、川が今も新しい土地をつくり続けています。

然別湖の主な数字

湖面の標高805m(面積1km²以上の北海道の自然湖で最も高い)
面積3.59km²
最大深度98.5m
透明度19.5m(1985年8月)
ペトウトル山約30万年前から20万年以上かけてできた成層火山
湖の南の溶岩ドーム数万年前〜約1万年前ごろ(くわしい年代は未確定)
永久凍土のある岩の斜面の年平均気温1.3〜1.7℃(西ヌプカウシヌプリ、1999〜2000年)

面積と最大深度は国土地理院の湖沼調査、湖面の標高と透明度は道総研の資料によります。溶岩ドームの年代は、産総研の地質図と観光庁の多言語解説文の範囲で書いています。学会発表では約1万〜4万年前とし、まだ定かではないとしています。氷の中の有機物の年代(約3,700年前)は学会発表の要旨によるもので、国内最古の氷の可能性があると指摘されています。

よくある質問

然別湖はどうやってできたのですか?

2つの考えがあります。溶岩ドームが盛り上がって谷をせき止めてできたという考えと、先に陥没してくぼ地(カルデラ)ができ、その縁に沿って溶岩ドームが噴き出して今の形になったという考えです。

然別湖の標高と深さはどのくらいですか?

湖面の標高は805mで、面積1km²以上の北海道の自然の湖の中で最も高い所にあります。面積は3.59km²、最大深度は98.5mです。

然別湖のまわりに永久凍土があるのはなぜですか?

溶岩ドームの斜面をおおう大きな岩のすき間を、冬に空気がめぐって地面を冷やし、春には雪どけ水が岩のすき間で凍って氷が増えるためです。年平均気温が0℃を上回る場所でも、永久凍土が保たれています。

ミヤベイワナはどんな魚ですか?

オショロコマの亜種で、然別湖にしかいない魚です。湖ができたときに閉じ込められたオショロコマが独自に進化したと考えられていて、生息地は北海道の天然記念物に指定されています。

然別湖へ行くなら

風穴のある岩の斜面は足場が悪いので、遊歩道や登山道を外れないようにしてください。冬は湖が凍り、道路の状況も変わるので、出かける前に町の案内で確かめてください。

然別湖の面積や水深は、北海道の湖沼カタログでも見られます:然別湖(河東郡鹿追町・河東郡上士幌町)

山の標高や所在地は、北海道の山カタログでも見られます:東ヌプカウシヌプリ(1252m)、白雲山(1186m)

この3D地形について

今の地形と写真、1974〜78年の空中写真は、国土地理院のデータを開いたブラウザがその場で読み込んで描いています。起伏が見えるよう、高さは1.5倍に強調しています。今の写真は、林野庁が2017年6〜9月に撮影したものです。

湖の底の形は、イメージです。深さ98.5mは国土地理院の湖沼調査の値ですが、湖底の細かい形は描いていません。

空中写真の出典:地理院タイル(シームレス空中写真、空中写真1974〜78年)。シームレス空中写真は「電子国土基本図(オルソ画像)」、「森林(国有林)の空中写真(林野庁)」などから作成されたものです。地理院タイル一覧

参考にした資料

北海道暮らしの読みもの