翠巌 Suigan

札幌中心部から車でおよそ1時間。支笏洞爺国立公園の原生林に抱かれた定山渓の景勝「舞鶴の瀞」近くに、静けさと余白を愉しむ全7室のオールスイート宿「翠巌（すいがん）」があります。二河に挟まれた特別なロケーションで、客室の窓いっぱいに山の翠（みどり）と渓谷の巌（いわお）が広がる――そんな“定山渓の原風景”をそのまま切り取ったような滞在が魅力です。住所は札幌市南区定山渓温泉西1丁目86番地。第一寶亭留グループが運営し、同エリアには「翠巌 本館」と“離れ”の2宿構成です。

最大の特徴は“客室の湯”。ここには大浴場がなく、全室に趣の異なる温泉（露天・寝湯・深湯など）がしつらえられ、好きな時に好きなだけ浸かれるプライベートスパ仕様です。客室によってはサウナやシアタースペースを備えたタイプもあり、誰にも邪魔されない“自分たちだけの整い時間”をデザインできます。泉質はナトリウム‐塩化物泉。到着15:00〜翌11:00の滞在中は、グループの「プレミアムアクセス」で定山渓内の提携湯処も巡れる仕組みです。

食のスタイルは“自由度”がキーワード。旅館では珍しく夕食なしプランを積極的に用意し、連泊時の「今日は部屋で映画×ワイン」「明日は姉妹館レストランへ」といった日替わりの楽しみ方ができます（事前予約で近隣レストランへの送迎対応あり）。もちろん館内での夕食・朝食も選べ、朝は体にやさしい内容、夜はコース仕立てで北海道の旬を味わう構成。小麦・そばなど一部アレルギー対応のポリシーも明示されています。

アクセスは札幌中心部からのドライブが基本。地下鉄「大通」1番出口前からは定員制・予約制の無料直行バス「湯けむり号」も運行しており、到着は14:40／17:00発、帰路は10:30／13:00発の2便設定（時期により変更の可能性あり）。雪季は道路状況により所要が延びるため、余裕を持った到着計画が安心です。

客室はそれぞれ間取りも設えも異なる“七つの特別室”。木や石、光と影の演出で落ち着いた空間を構成し、露天や寝湯、サウナ、シアターなど“用途の違う愉しみ”を一室ごとに提案します。テレビや照明を含め過剰な機能を削ぎ落としたデザインは、記念日や二人旅にふさわしい密度の高い私的時間を引き出すつくり。チェックイン後はロビーラウンジや水面に張り出すテラスで、池と庭を眺めながら緩やかな森のリズムに同調していく感覚が心地よいはず。

レビュー傾向を俯瞰すると、「客室風呂やサウナの満足度」「スタッフのもてなし」「眺めの良さ」への高評価が目立ちます。一方で“館内エンタメをあえて持たないミニマルな方針”ゆえ、食の選択肢やアクティビティを外で足す設計に好みが分かれる面も。自分の優先度（客室の特徴／食の自由度／湯めぐりの活用）を決め、直近の口コミと照らして部屋タイプを選ぶのが満足度を上げるコツです。

予約サイトの掲載情報では、無料Wi-Fiや無料駐車場、24時間対応のフロントなど“土台”の機能はしっかり。Booking.comでは「とてもすばらしい」9点台の総合評価、清潔さ・快適さのスコアが高く、Hotels.com／Expediaでも好意的なレビューが並びます（料金は時期や在庫で変動）。特に「川の眺望」「静けさ」「Wi-Fiの安定性」に関する記述が目立ち、ワーケーションの短期蟄居にも向く印象です。

トピックとして、同エリアには“二つ目の宿”として「翠巌 離れ 松直棘曲（まつはなおく・いばらはまがれり）」が案内されており、テーマ性のある料理や客室を備えた別棟として展開。楽天トラベル等でも別館の開業情報（全7室・温泉付、2025年秋の案内）が確認できます。予約時は「本館」か「離れ」か、希望の体験軸に沿って選び分けるのがおすすめです。

まとめると、翠巌は“部屋で過ごす時間こそ旅の主役”という思想を、定山渓の原風景と私的な湯で具体化した隠れ宿。大浴場を持たず、あえて客室の機能性と景観に投資することで、滞在の密度を極限まで高めています。日中は森を歩き、夕暮れに客室の湯で体を緩め、夜は映画や読書、対話に浸る――そんな「何もしない贅沢」を求める人に、最もフィットする一軒です。最新の送迎・食事・湯めぐりの運用や各OTAの在庫・料金は変動するため、公式ページと予約サイトの最新情報を併読して計画を固めると安心です。