中村屋旅館 Nakamuraya Ryokan 中村屋旅館

中村屋旅館は、札幌市中央区北3条西7丁目・緑苑ビル内にある和風旅館です。場所は北海道大学植物園に隣接する官庁街エリアで、JR札幌駅から徒歩約7〜10分、大通公園や旧北海道庁赤れんが庁舎、札幌市時計台へも徒歩圏という、市内観光とビジネスどちらにも動きやすい立地にあります。周囲はオフィスや公共施設が多く、繁華街から少し離れた落ち着いた雰囲気のエリアです。

創業は明治36年（1903年）。公式サイトによれば、創業者の中村タサが下宿屋を開いたのが始まりで、100年以上にわたり札幌の中心で旅館を営んできた歴史があります。現在は株式会社中村屋旅館として運営されており、「100年以上の歴史を持つ宿」をうたっている老舗です。

客室は全25室、すべて畳敷きの和室という構成です。ビジネスホテルの洋室とは雰囲気が異なり、「実家に帰ってきたように落ち着く」「和室が落ち着く」といった声もあり、布団を敷いてゆっくりくつろげるスタイルを好む人に向いています。広さや定員は部屋タイプによって異なり、1人利用から家族・グループまで対応可能です。各室にはテレビ、エアコン、冷蔵庫、湯沸かしポット、緑茶セット、洗浄機能付きトイレ付きのバスルームなどを備え、客室内でも不自由なく過ごせるようになっています。

浴室は、客室のバスルームに加えて、男女別の大浴場が用意されています。御影石張りの浴場で、足を伸ばして入れるサイズの浴槽を備えており、「各部屋にバスタブがありますが、15時〜翌10時まで楽しめる浴場もあります」と案内されています。実質的にほぼ24時間利用できるため、チェックインが遅くなった日や、朝出発前にもう一度入りたいときにも使いやすいのが特徴です。シャンプー・コンディショナー・ボディソープは浴場側に備え付け。温泉ではありませんが、「大浴場があるのがうれしい」「時間を気にせずゆっくり入れる」といったクチコミも見られます。

食事は、朝は広間で提供される和朝食が基本です。焼き魚や卵料理、小鉢、味噌汁、ご飯といった構成で、地域の味を取り入れた素朴な内容が好評とされています。夕食付きプランでは、季節の食材を使った郷土風の和会席を味わえるプランもあり、「四季折々の材料を生かした郷土風料理が自慢」と紹介されています。

館内には、宿泊者向けの食事だけでなく、会食・宴会用の会場も用意されています。職場の歓送迎会や各種記念行事、家族のお祝い事など、2名〜最大60名まで対応可能と案内されており、和洋中のコース料理や会席膳などのプランでの利用ができます。また、特製弁当・仕出し料理、おせち料理、お泊まりクラス会、ご法要向けの料理なども扱っており、地域密着型の老舗旅館らしい使い方ができる点も特色です。

設備面では、館内に喫茶・宴会場・会議室・売店・自動販売機・コインランドリーなどを備えています。共用エリアではWi-Fiを利用でき、24時間対応フロントでの荷物預かりやランドリー設備など、連泊や長期滞在の際に役立つサービスがそろっています。フロントにはセーフティボックスや共用テレビも用意されており、昔ながらの旅館スタイルにビジネスホテル的な実用性を加えたような印象です。

建物自体は新築ではなく、外観はややレトロな雰囲気ですが、「外見は古いが中は改装されていて清潔」「こざっぱりとした和風の旅館」といった声が多く、清掃やメンテナンスには気を配っている様子がうかがえます。ビルとビルの間に建つ立地ながら、北海道大学植物園に隣接しているため、札幌中心部でありながら比較的静かな環境で過ごせる点もポイントです。

アクセスについては、JR札幌駅・大通エリアのどちらからも歩いて向かえる距離で、公式サイトには札幌駅からの徒歩ルートが写真付きで詳しく掲載されています。地下歩行空間の出口を使えば、天候の悪い日でもある程度まで地下経由で向かうことができ、赤れんが庁舎や大通公園、時計台、狸小路方面にも散策しやすい位置取りです。

駐車場については、「駐車場あり」との案内がありますが、収容台数や利用条件などの詳細は時期や提携先によって変わる可能性があります。そのため、車利用の場合は、公式サイトや予約ページの最新情報を事前に確認しておくのが無難です。

総じて中村屋旅館は、札幌中心部にありながら全室和室・男女別大浴場という「旅館らしい滞在」ができる宿です。いわゆるチェーン系ビジネスホテルとは違う雰囲気を求める人、和室で落ち着いて過ごしたい人、赤れんが庁舎や大通公園周辺の街歩きを楽しみつつ、価格帯を抑えて滞在したい人にとって、選択肢に入れやすい一軒と言えます。