厨翠山 Kuriyasuizan 廚翠山旅館

厨翠山は、札幌の奥座敷・定山渓温泉にある全14室ほどの小さな温泉旅館で、「食の宿」をコンセプトにした大人向けの宿です。場所は定山渓温泉西3丁目、豊平川沿いの静かなエリアにあり、札幌中心部から車や送迎バスで約60分、新千歳空港からは高速道路経由で約2時間ほど。第一寶亭留グループの一員として、客室数を絞り、その分料理と滞在体験に力を入れているのが特徴です。

「厨」という言葉は“料理をこしらえる場・料理人”を意味し、その名の通り、厨翠山は料理人が中心にいる宿です。1階の食事処「厨」はオープンキッチンになっており、仕切りの少ない空間で、目の前で調理される音や香りも含めて楽しめるつくり。北海道各地から届く旬の食材と清らかな湧水、塩にまでこだわった一つのコース料理を、その日だけの献立として提供しています。和でも洋でも中華でもない「境界線のないシームレスな料理」を掲げ、ジャンルにとらわれず組み立てられた構成が特徴です。夕食は基本的に一斉スタート制で、出来たてを順番に出していくスタイルをとっています。

客室は全体で14室ほど。和室・和洋室・離れの特別室などで構成され、いずれも華美な装飾を控えたシンプルな設えです。窓の向こうには定山渓の山々や渓谷の緑・紅葉・雪景色が広がり、季節で表情を変える景観を眺めながらくつろげます。客室の一部は温泉付き特別室となっており、離れ1階には露天風呂付き特別客室、2階には檜の内風呂付き特別客室を配置。最大6名まで利用できる約120㎡クラスの客室もあり、グループや家族での滞在にも対応できます。全室に無料Wi-Fi、テレビ、冷蔵庫、個別空調、温水洗浄トイレ、浴衣やタオル類などが備えられ、設備は現代的ですが雰囲気は落ち着いた旅館寄りです。

温泉は、定山渓らしいナトリウム塩化物泉の湯を、大浴場と露天風呂で楽しめます。大浴場は内湯と露天風呂を備え、森林に包まれた静かな環境で湯浴みできるのが魅力です。露天風呂のすぐ下には小川が流れており、せせらぎを聞きながら浸かるスタイルで紹介されています。泉質は体の芯まで温まりやすい“熱の湯”タイプで、冷えや疲れを感じる時にも向いたお湯です。館内にはエステやスパも用意されており、温泉と合わせてボディケアを組み込む滞在も可能です。

食事処「厨」はカウンター20席とテーブル席からなり、カウンターでは料理人の手元を眺めながら一皿ずつ提供されるのが特徴です。コースは基本的に1コースのみで、その日届いた食材に合わせて内容を組み立てるスタイル。前菜から魚料理、肉料理、締めのご飯、デザートに至るまで、北海道の旬を意識した構成になっています。日本酒とのペアリングプランも設定されており、北海道の地酒を中心に、料理に合わせて数種類の日本酒を楽しめる内容も用意されています。

パブリックスペースとしては、ラウンジやロビー、バーコーナーなどがあり、食前・食後や入浴後に一息つけるようになっています。ラウンジでは時間帯によって、おつまみやドリンクが並ぶフリーコーナーを用意している日もあり、軽くつまみながら会話を楽しむなど、滞在の合間に立ち寄りやすい雰囲気です。全館Wi-Fiに対応し、送迎バスや駐車場も整っているため、車でも公共交通でもアクセスしやすい環境です。

アクセスは、「北海道札幌市南区定山渓温泉西3丁目4」。札幌駅周辺からは事前予約制の無料送迎バスが運行しており、JR札幌駅から車で約60分、真駒内駅から路線バス利用でもアクセス可能です。定山渓の中心エリアからやや外れた静かな立地で、周辺には散策路や足湯も点在しています。大規模な温泉リゾートというより、「食を主役にした小さな温泉宿」として、ゆっくり食事を楽しみたいカップルや夫婦、友人同士の旅行に向いた一軒といえます。