旅籠屋 定山渓商店 Hatagoya Jozankei Shoten 定山溪旅籠屋

札幌中心部から車で約50分、豊平川沿いの温泉街の一角に佇む「旅籠屋 定山渓商店」は、築47年の保養所をリノベーションした“気ままさ優先”の温泉宿です。館内には〈酒屋 定山渓商店〉と〈定山渓精肉店〉を擁し、「必要なものを、必要なだけ」というミニマル哲学を掲げる第一寶亭留グループの個性派。2019年開業以降、“自由度100％”を合言葉に、肩肘張らない滞在を提案しています。

この宿の核は「余白」。アメニティや付帯サービスはあえて最小限に抑え、使い慣れた日用品を持ち込むことを歓迎。気に入った館内アイテムは購入もできる“商店”スタイルで、宿泊と小さな買い物体験が自然に混ざり合います。ロビーには酒と肉のカウンターが並び、旅のテーマを自分で“編む”楽しさが貫かれています。

温泉は源泉かけ流し。内湯の先に広がる露天風呂では、森の気配に包まれながら湯に浸かれます。泉質・浴場ディテールは公式の温泉案内に整理され、サウナを含む大浴場構成も確認可能。楽天トラベルの設備一覧でも「大浴場・露天風呂・サウナ・湯上がりサロン」を明記しており、コンパクトながら温浴の“土台”はしっかりしています。

夕食は“定山渓精肉店の焼肉コース”。道内産の良質な肉を中心に、炭火の香りと共に味わうスタイルで、酒は〈酒屋 定山渓商店〉が全国から選び抜いた銘酒100種超――「十四代」「田酒」「新政NO.6」など、愛好家をうならせる顔ぶれです。食後や湯上がりに“推しの一杯”を見つけるのも、この宿ならではの愉しみ。

客室はシンプルで落ち着いた和洋空間。Booking.comでは“アダルトオンリー（中学生以上）”を明示し、部屋タイプはシングル／ツイン／トリプルを基本にプライベートバス・テレビ・浴衣・スリッパなど必要十分の装備を備えます。館内にはバーやゲームルーム、無料駐車場もあり、ひとり旅から友人グループまで柔軟に受け止める器用さが魅力です。

“自由度100％”の運用は時間にも反映。チェックイン16:00〜、チェックアウトはゆったり12:00。朝寝坊派にはうれしい“遅出”文化で、夜の湯や読書時間を長く取れるのが特徴です（標準時間・最新は予約画面で要確認）。料金感は1.1万〜1.5万円前後（1名）という観光協会サイトの目安も参考にできます。

立地は定山渓温泉中心部。白糸の滝や二見公園などの散策スポットも近く、湯めぐりや朝の川沿いウォークに最適です。車の場合は無料駐車場を利用でき、公共交通でも札幌都心から路線バスで気軽に到達可能。周辺の飲食店や足湯を“つまみ食い”するように楽しめる温泉街サイズも、気ままな旅に噛み合います。

OTAの掲載を横断すると、当館は「大人専用の小宿」「無料駐車場」「シンプル設備×良質な食・酒・湯」という輪郭で一致。レビューでは「焼肉と日本酒の満足度」「保養所リノベの味わい」「スタッフの距離感」に言及が多く、いっぽうで「大浴場アメニティが最小限」「玄関の土間が狭め」といった、ミニマル設計ゆえの注意点にも触れられています。価値観が合う旅人には強く刺さる“選びの宿”です。

“使いこなしのコツ”は三つ。①到着後はまず〈酒屋〉で好みの銘柄を1〜2本ピックアップし、焼肉コースと合わせて“自分のペアリング”を作る。②温泉は夜遅めと朝の2回入浴し、温度・空気の変化を味わう。③身の回り品（基礎コスメ・ヘアケア等）は持参して“マイ・ミニマル”を完成させる――この3点で満足度の上振れが狙えます。

実務メモ：住所は札幌市南区定山渓温泉西2丁目5番地。予約・問合せは公式コールセンター（9:00〜19:00）。中学生以上限定／全館禁煙。駐車場無料。販売チャネルによりプランや提供時間が異なるため、夕食内容（焼肉コースの構成）・酒の入荷・温浴設備の運用時間は、出発前に公式・予約サイトで最新を確認しましょう。

まとめると、「旅籠屋 定山渓商店」は“湯×肉×酒×余白”を、必要最小限の設えで濃密に味わうための大人の拠点。過剰なサービスや装飾をそぎ落とし、自分のペースで旅を編みたい人に最適です。豪華さの代わりに“自分で選ぶ自由”がある――そんな新しい温泉宿のかたちが、札幌の奥座敷で静かに息づいています。